春一番
東京で観測されました。皆様の地域はどうでしょうか。確実に春に近づいていますね。とはいえ、2月下旬にしばらくぶりに新潟県の六日町にある病院を訪問したのですが、除雪された雪が道路わきに高く積まれていました。六日町は豪雪地帯で雪が2m以上積もったそうです。
レセプト巡礼は続く
2月は点検病院が多く移動距離がかなり長くなりました。新幹線から見える車窓の風景も毎月繰り返し見ているので、その場所を通過すると懐かしさを覚えるほどです。東海道新幹線は多くの川を渡ります。川の風景はいいですね。印象にあるのは大井川、天竜川、矢作川、木曽川、長良川、桂川、淀川などです。今回上空から富士山の冠雪を見ることができました。富士山はやはり特別で昨年が9回目の登山でした。今年も挑戦します。
毎月神戸を訪問していますが、点検が終わり帰りの新幹線で「ただいま、小田原駅を時刻通りに通過しました」のアナウンスが流れると「もうすぐ東京だ」と思い、池袋に着いて西武デパートのシャッターを見ると「もうすぐ家だ」と思います。3月は札幌の病院で「施設基準セミナー」を行うので移動距離がさらに伸びるでしょう。依頼がある限りどこへでも行きます。
指摘の共通点
2月は1都6県の病院を点検させていただきました。所変われど指摘内容に共通点があります。自主点検の参考にしてください。
*院内トリアージ実施料300点+二類感染症患者入院診療加算250点
急性期の医療機関はCOVID-19確定患者や疑似症患者を受け入れているので積極的に算定しましょう。
PCR検査の実施がなくても発熱外来に隔離したときなどでも算定できます。医療機関到着時の対応を
確認するといいでしょう。
*在宅自己注射指導管理料 インスリン針加算
算定できる薬剤が多くあります。日本糖尿病協会のインスリン製剤一覧を確認してください。
針付注入器一体型は注入器加算の算定はできませんが、製剤一覧の4ページの「GLP-1受容体作動薬」
で「あらかじめ針が装着されております」とあるもの以外は専用の針が必要なので算定できます。
*輸血料・不規則抗体価加算の週に1回算定
MAP輸血時に不規則抗体価を実施することが多く、通常3日間1クールの輸血では1回の算定ですが、
頻回輸血時は週に1回197点が算定できます。頻回の定義は「週1回以上、当該月で3週以上にわたり
行われる場合」となっています。この場合の3週以上にわたるとは21日間でなくカレンダー上の3週で
す。診療報酬算定に用いる1週とは日曜から土曜日なので、3月の場合は1回目の輸血が1日2日、
2回目が6日と8日、3回目が16日17日ならば3週にわたっているので3回算定できることになります。
2023年2月実績報告
レセプト点検件数 1,546件
延点検時間 102時間
移動距離合計 4,577㎞
移動時間合計 46時間
レセプト点検に訪問した医療機関
1都6県 12病院 13日
*東京都3病院、埼玉県3病院、神奈川1病院、兵庫県2病院、茨城県1病院、新潟県1病院、
愛知県1病院。
その他の業務
*レセプト請求講習会講師 2回
乗車した路線
*西武池袋線、西武新宿線、西武バス、西武有楽町線、地下鉄有楽町線、地下鉄副都心線、埼京線、
武蔵野線、東武東上線、都営大江戸線、東横線、横浜線、山手線、東海道新幹線、山陽新幹線、
上野東京ライン、神戸市営地下鉄海岸線、神戸市営地下鉄西神・山手線、東京モノレール、
スカイマーク、ポートライナー、東海道線、上越新幹線、上越線、ほくほく線。
乗降駅、乗換駅
*練馬、所沢、池袋、戸田公園、小竹向原、志木、朝霞台、小平、田無、高田馬場、菊名、鴨居、
品川、新神戸、神戸地下鉄三宮、神戸、兵庫、御崎公園、神戸新交通三宮、神戸空港駅、
神戸空港、羽田空港、羽田空港第1ターミナル、大門、浜松町、名古屋、刈谷、上野、石岡、大宮、
越後湯沢、六日町。
おすすめの食べ物(移動の楽しみは食事と甘いもの)
蕎麦
そばは冷たいものに限ります。特におろしそば。うどんは熱いのがいいですね。
蕎麦に含まれる「ルチン」は毛細血管の働きを整え、血行促進を促し高血圧の抑制などに効果が
あるといわれています。もっとも食べるときに「血行促進」などと考えることはないですが。
指摘3選
1.臨時的診療報酬 救急医療管理加算4倍、6倍
吐物誤嚥性肺炎で入院した患者さんですね。
入院時にPCR検査と動脈血で血液ガス分析を実施し酸素吸入を開始しています。
救急医療管理加算1の算定ですが二類感染症患者療養環境特別加算を2日間算定があるので、
新型コロナウイルス感染症・臨時的診療報酬の4倍か6倍を算定できないでしょうか。
急性呼吸不全の状態なので救急医療管理加算1を算定しました。
呼吸不全中等症なら臨時的診療報酬を算定できますよ。
入院時のSPO2はいくらでしたか?
それから血ガスのPao2の結果も調べてください。
カルテをみます。
SPO2は89%です。Pao2は何を見ればわかりますか?
血液ガス分析の検査結果に記載があります。
45㎜Hgです。
その数値なら「新型コロナウイルス感染症 診療の手引き9版」で定める
呼吸不全中等症Ⅱに該当するので、臨時的診療報酬事務連絡(その56)から
950点の6倍を算定できます。
PCRは陰性でしたが算定できますか。
診療の手引きの「疑似症患者の定義」で「感染が疑われる患者のうち,臨床的に蓋然性が
高く,入院を要する」とあり診療内容から算定できます。
検査結果や全身症状から酸素吸入を行ったはずです。
何日間算定できますか
事務連絡では14日間算定でき、その時点で感染が続けば15日以降も算定できるとありますが、
疑似症患者の場合に査定があり算定も地域差があるようですが、二類感染症患者療養環境特別加算の算定日数は大丈夫でしょう。
*これは事務連絡(その19)問1から個室管理の間は「疑似症患者として入院措置がなされている期間」になると判断できるからです。
ということは5,700点×2日の算定ですね。
3日目以降の救急医療管理加算は何点ですか。
これも地域差があるようで、救急医療管理加算1と判断し1,050点を、
臨時的診療報酬なので950点を算定している例があります。
近隣の医療機関に確認し算定します。
5,700点を2日間算定は大きいです。
「新型コロナウイルス感染症 診療の手引き9版」は厚労省が発行しています。
この内容を準拠し院内の医療体制や感染対策を行っているでしょう。
医事課は診療報酬算定、特に臨時的診療報酬の救急医療管理加算や二類感染症患者入院診療加算を算定するときに参考になります。
特に次の項目を確認してください。
・12ページ「重症化に関連する基礎疾患など」 → 院内トリアージ実施料の算定
・24ページ「症例定義」 → 疑似症患者の考え方
・28ページ「届出」 → 直接診療報酬に関連しないが医療機関として重要項目
・32ページ「重症度分類(医療従事者が評価する基準)」 → 救急医療管理加算の算定
・34,35ページ「呼吸不全中等症」 → 救急医療管理加算4倍6倍の判断
*4倍(中等症Ⅰ)は安静と十分な栄養摂取、脱水管理が重要で酸素吸入は不問。
6倍(中等症Ⅱ)は動脈血ガス分析の実施と酸素吸入がポイント。
静脈血ガス分析の場合でも動脈血ガス分析の数値に換算できるので該当します。
2.菌状息肉腫は悪性腫瘍 C84.0
菌状息肉腫の患者さんです。珍しい病名ですね。
皮膚生検とCEA検査をしています。
菌状息肉腫のICDはC84.0なので悪性腫瘍です。
CEAは悪性腫瘍特異物質治療管理料で算定できます。
CEAは肝癌など消化器癌のマーカーだと思っていました。
もちろんそうですが適応に「肉腫」があり、
転移性肝癌を疑ったのかもしれませんね。
ASTが高くないですか。
ASTは65です。
調べてみたらAST高値の場合、肝癌の発症が疑われます。
ありがとうございます。悪性腫瘍特異物質治療管理料はDPCで出来高になるのでよかったです。
どうやって調べたんですか。医事課には「検査・画像診断辞典」があるのでそれで調べますが。
私は持っていないのでネットで調べますが、株式会社エスアールエルさんの
「SRL総合検査案内」をお気に入りに入れているのでそれで調べます。便利です。
癌の種類
・固形癌
癌腫(cancer、carcinoma):消化器や泌尿器など一般的な癌 大腸癌、前立腺癌、乳癌など
肉腫(sarcoma):骨や筋肉などの癌 骨肉腫、軟骨肉腫、ユーイング肉腫など
・血液癌:血球の癌 白血病、悪性リンパ腫、骨肉腫など
癌の表記
がん:すべての悪性腫瘍
悪性新生物(malignant neoplasm)ともいう ⇔ 良性新生物(benign neoplasm)
癌:上皮細胞から発生する癌腫
*がんと癌を明確にしていない場合も多い。医療機関や医師による。
3. DPC 下肢閉塞性動脈硬化症 → 皮膚潰瘍があれば「副傷病あり」
ASO(050170①)にコーディングしていますね。
退院時処方でゲーベンクリームが算定されています。
皮膚潰瘍があれば副傷病ありになります。
下肢に皮膚潰瘍があり「下肢創傷処置(潰瘍)」を入力していました。
副傷病あり(050170②)に変更します。
ASOの患者さんは血行障害を伴う場合が多いので、
処置の実施や軟膏の処方を見逃さなければ副傷病がないか意識すると思います。
この例のように入院契機病名がASOの場合は、
処置や軟膏を入力するときに意識する必要がありますね。
DPC算定以外なら皮膚潰瘍と傷病名を付けたはずですが、
包括なのでついうっかりするのでしょうね。
でも重要なことなので傷病名を入力する習慣を持つといいですね。
佐藤の格言「副傷病なしを見たらありと思え」を実践してください。
よくある見逃しはこの事例のASOと皮膚潰瘍と結腸手術後の術後麻痺性イレウスです。
課員に伝達し傷病名をしっかりとコーディングにつなげていきます。
20日間入院で係数前点数が43,998点が45,604点になりました。
良かったです。
最後までお読みいただきありがとうございます。次回は3月31日を目標に頑張ります。
4月以降の費用を改訂いたします。レセプト点検業務を医療機関と新規に1年契約していただいたときは、旅費交通費、宿泊費共に最初の6か月の費用は弊社が負担いたします。詳細は費用の説明をご参照ください。ご依頼をお待ちしています。
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