新年度スタート
早いもので新しい年度の始まりです。診療報酬改定がないので昨年より多少落ち着いて移行できます。注意点として3月31日で終了する経過措置があるので項目を確認してください。令和5年4月1日以降も引き続き算定する場合は、令和5年4月14日(金)までに再度、施設基準の届出が必要となります。うっかり忘れにならないようにしましょう。
施設基準・適時調査
コロナ過で中止されていた適時調査が昨年から再開しています。臨時的診療報酬の特例で入院基本料や特定入院料を算定していた場合は、特例に該当する期間の数字の裏付けが証明できるか見直ししておくといいでしょう。適時調査は医療機関ごとに2年に1度実施する計画になっていますが、実際には数年実施されていないところもあります。また、法人内異動や転職で病院が変わることがあるので適時調査を経験していない方も多いと思います。適時調査の目的は施設基準を満たしているかどうか確認するものです。過度に恐れることはないですが、日々、月々の管理を怠っていると返還金につながります。特に前回の適時調査から間が空いているところは自主点検を実施しましょう。それ以外の医療機関も自主点検を定期的に実施することで施設基準の適否を再確認できます。自主点検には厚生労働省のサイトから「調査書」がダウンロードできるので活用しましょう。実際の適時調査で使用されるものです。あわせて「適時調査実施要領」も確認してください。
医学通信社・保険診療5月号に記事が記載されます。
「ゼロからわかる“薬剤”入門」というテーマです。お楽しみに。
2023年3月実績報告
レセプト点検件数 1,262件
延点検時間 80時間
移動距離合計 6,131㎞
移動時間合計 50時間
レセプト点検・施設基準点検に訪問した医療機関
1都1道6県 13病院 13日
*東京都2病院、北海道1病院、埼玉県3病院、兵庫県3病院、茨城県1病院、愛知県2病院、
静岡県1病院。
その他の業務
*施設基準セミナー 1回
乗車した路線
*西武池袋線、西武新宿線、西武バス、西武有楽町線、地下鉄有楽町線、地下鉄副都心線、埼京線、
武蔵野線、東武東上線、都営大江戸線、東横線、山手線、東海道新幹線、山陽新幹線、
神戸市営地下鉄海岸線、神戸市営地下鉄西神・山手線、東海道本線、常磐線、上野東京ライン、
名鉄名古屋本線、東京モノレール、スカイマーク、千歳線、函館本線、阪神電鉄、阪急バス。
乗降駅、乗換駅
*練馬、所沢、池袋、戸田公園、小竹向原、志木、朝霞台、小平、田無、高田馬場、菊名、熱海、
品川、新神戸、神戸地下鉄三宮、御崎公園、三宮・花時計前、羽田空港第1ターミナル、
新千歳空港、羽田空港、札幌、大門、浜松町、名古屋、刈谷、新安城、上野、石岡、新大阪、
大阪、梅田、阪神尼崎、阪神芦屋、陽光町。
おすすめの食べ物(移動の楽しみは食事と甘いもの)
【神戸ショコラオランジェ】
毎月神戸に5日間くらい滞在しています。新神戸駅新幹線改札の手前にセブンイレブンと土産物が
合体した広いお店があります。おいしそうなお土産品が数多く整然と陳列してあります。
今回は「神戸ショコラオランジェ」を購入しました。オレンジもチョコも好きなので一石二鳥の
クッキーです。
指摘3選
1.入院起算日はいつですか
前胸部痛が30分以上続きかかりつけ医に往診を依頼。
急性心筋梗塞疑いで往診医の指示で救急搬送されました。
救急車は起坐位をとり病院到着時は顔面蒼白と記載されています。
救急外来で心電図検査と心エコーを実施し23時50分にカテ室に移動しました。
往診医から急性心筋梗塞の疑いで深夜に救急搬送されたら入院が前提でしょう。
この場合入院起算日は3月9日になります。
3月10日を入院日にしたのですが。
入院起算日は入棟時間でなく入院医療が開始された時間と考えます。
この事例は入院を前提として患者さんを受け入れているので到着時が入院医療の開始ですね。
そうすると診療開始日と入院起算日を3月9日にして、
初診料を入院で算定するのですね。
今までは入棟日が入院日と教わったのでそう理解していました。
どこかに記載はあるのでしょうか。
医学通信社・診療点数早見表2022年4月版の72㌻を読んでください。
左側水色のマーカーが引いてある一番下の項目です。
この記載から入棟しなくても入院基本料が算定できることがわかりますね。
ここは読んだことがありましたが日にちが変わってから入棟したときは
翌日が入院日と理解していました。
救急車の受け入れが多い救急病院は深夜帯の搬送が多いので注意が必要ですね。
それから往診医からの依頼なので、A206在宅患者緊急入院診療加算が算定できる可能性があるので算定要件を確認してください。
①救急隊:激しい頭痛があり搬送依頼がありました。到着時JCS200。高血圧治療中です。ベッドは空いていますか?
当院救急外来医師:はい、空いていますので搬送してください。脳外科医がいます。
②救急隊:心窩部痛と嘔吐が続き吐血があったので搬送依頼がありました。到着時顔面蒼白です。レベルクリアです。
当院救急外来医師:お連れしてください。
①は傷病名にかかわらずJCS200なので入院を前提に受け入れています。
②は救急隊からの情報では入院が適応か不明で、受診後に入院が決定する事例です。
*入院起算日のトラブル防止
患者さんや家族の方は病室に入ったときが入院日と考えます。日にちが変わる前に入院が必要と判断したら、患者さんや家族の方に「入院です」と告げるよう医師と打ち合わせてください。翌朝入院の手続きの時に「病棟に入ったのは日付が変わってからです」と言われることがあります。
2.皮膚切開術 切開の長さでなく長径で算定します
長径はどれくらいですか?
切開した長さは2㎝です。
炎症の長径とは皮膚表面の赤く見えるところです。
長径の記載はありませんがΦ12㎝と書いてあります。
他に長さの記載はないですね。
皮膚をはじめ人体では感染の広がりや腫瘍などは円形になることはなく、
楕円形になります。その中で最も長いものを長径と言います。
メスを入れた長さでオーダーされると誤算定になりますね。
長径が12㎝あるのに切開の長さは2㎝だけなんですか。
炎症は皮下に原因菌が入り込むことで始まります。腫れたり発赤ができると気になるので触ったり、かゆみがあると掻いたりするので傷がつきそこからさらに感染が進行します。抗生剤で治療しますが、膿瘍ができると切開排膿が必要になります。発赤部すべてに膿瘍があるわけでなく、局所に膿瘍を形成するのでその部位を切開するんです。
今まで皮膚切開はほとんど640点で算定していました。
医師と連携し炎症の長径で算定します。
カルテ記載の長径やΦの数字も目安になりますね。
炎症の5徴候 急性炎症時にみられる症状
・発赤 炎症部位の発赤
・熱感 体温の上昇や炎症部位熱感
・腫脹 炎症部位
・疼痛 炎症部位
・機能障害 上記4徴候のため運動や日常生活が制限される
*症状詳記やコメントに活用してください。
3. DPC 腎盂腎炎は急性ですか慢性ですか
110280樹形図番号①、腎盂腎炎にコーディングしています。
緊急入院ですが入院時の状態はどうでしたか。
腎盂腎炎のICDはN11.9なので「慢性腎盂腎炎」の仲間です。
慢性腎盂腎炎と急性腎盂腎炎の違い
症状 |
治療 |
ICD |
DPC |
|
慢性 |
微熱・全身倦怠 |
外来 経口抗菌剤 |
N11.9 |
110280 |
急性 |
悪寒・戦慄・高熱 |
入院 抗生剤点滴 |
N10 |
110310 |
*同じ腎盂腎炎でも異なる疾患と考える必要があります。
*10日間入院の点数比較。慢性腎盂腎炎は24,500点、急性腎盂腎炎は25,700点となります。
症状や治療が全然違うんですね。
医師に診断名を聞いたときに「腎盂腎炎」と言われたとしても、
緊急入院やカルテ記載から「急性腎盂腎炎ですか」と確認する必要があります。
もっとも慢性腎盂腎炎は外来で治療可能なので、入院することはまれだと思います。
腎盂腎炎以外では膵炎や肝炎も慢性と急性には大きな違いがあるので、
必ず接頭辞を確認してください。
急性腎盂腎炎110310に変更します。
最後までお読みいただきありがとうございます。次回は5月3日を目標に頑張ります。
医事課にとって魔のゴールデンウイークの到来ですね。日程調整しながら乗り切ってください。
当社の点検は曜日不問です。