9月の巡礼が終わりました。点検病院は11か所で移動距離が長くなりました。朝の新幹線は指定席でなくても余裕で座れますが、7月8月に比べると少し乗客が増えてきた印象です。
点検終了後に講評や簡単な勉強会を行っています。知識を吸収したいという意欲が伝わってくる楽しい時間です。
レセプト件数 984件
点検時間 42時間
移動距離合計 2,907㎞
移動時間合計 36時間
訪問した医療機関
1都5県 11病院 8日間
*東京都、埼玉県、神奈川県、兵庫県、新潟県、愛知県
乗車した路線
*西武池袋線、西武新宿線、西武多摩湖線、西武有楽町線、東武東上線、埼京線、副都心線、
東横線、横浜線、東海道新幹線、山陽新幹線、神戸市営地下鉄西神・山手線、
神戸市営地下鉄海岸線、上越新幹線、北陸鉄道ほくほく線、湘南新宿ライン、関西本線、
近鉄名古屋線。
こんな指摘をしました 1 輸血・不規則抗体価加算
再生不良性貧血で入院した患者さんにMAP輸血400㎖を次の通り実施しています。
8月2日~4日、12日、13日、23日、24日。不規則抗体価加算197点の算定が1回だけですが、
反復輸血なので週に1回算定できますね。
一連の輸血なので算定は1回だけではないのでしょうか?
輸血料の不規則抗体価加算は、回数にかかわらず月に1回算定すること原則ですが、
白血病、再生不良性貧血、悪性貧血(ビタミンB12欠乏性、葉酸欠乏性)、
慢性腎不全による貧血、骨髄異形成症候群などの疾患で
反復輸血など頻回に輸血を行う場合は週に1回算定できるんです。
K920輸血料の「注6」に記載されているので確認してください。
再生不良性貧血の患者さんはMAPや血小板輸血を頻回に行うことがあるので、
実施を確認し忘れずに算定します。
こんな指摘をしました 2 難病患者等入院診療加算・パーキンソン病
入院契機病名、DPCコーディング病名がともに誤嚥性肺炎。
入院時併存症にパーキンソン病がついています。
コーディングデータを見ると抗パーキンソン病薬が処方されています。
ヤール分類を確認してください。
Ⅲ以上、生活機能障害度2度以上なら「A2101難病患者等入院診療加算250点」を
入院日から算定できますので。
カルテを確認しました。ヤールⅣ、生活機能障害度3度でした。
でも、今回は誤嚥性肺炎が主病なので難病患者等入院診療加算は算定できないのでは?
算定要件はそうなっています。
では医科診療報酬点数表の「診療報酬請求書・明細書の記載要領」
「(15)「傷病名」欄について」を見てください。
ハイ、開きました
イに次のような記載があります。「主傷病については原則として1つ、
副傷病については主なものについて記載することとし、
主傷病が複数ある場合は、主傷病と副傷病の間を線で区切るなど、
主傷病と副傷病とが区別できるようにする。」
難しい表現ですね。どう理解すればいいんでしょうね。
この患者さんの主病は「誤嚥性肺炎」と「パーキンソン病ヤールⅣ」の2つと
理解できます。
そして「パーキンソン病が主病なので難病患者等入院診療加算が算定できる」
となります。三段論法ですね。
そもそも難病は常に主病になりえると考えています。
服薬をしているのでなおさらですね。
難病の患者さんの治療や看護は大変なのでその対価なんですね。
1日250点算定できるのは大きいです。
A2101難病患者等入院診療加算のここに注目
対象疾患の名称は医科診療報酬点数表「別表第6」に記載されているのでわかりますが、その中に「メチシリン耐性黄色ブドウ球菌感染症(開胸心手術又は直腸悪性腫瘍手術の後に発症したものに限る)」とあります。算定できる期間はA210難病等特別入院診療加算の説明分の下に「メチシリン耐性黄色ブドウ球菌感染症の患者については、菌の排出がなくなった後、3週間を限度として算定する」と記載されています。
3週間は再燃防止のため医療資源や人的資源を投入するための対価です。経過観察を行い診療録に記載してください。算定のイメージは次の通りです。
傷病名:直腸癌
8月1日 K7402低位前方切除術
8月7日 体温38.5℃、頻脈、血液培養(結果:NRSA検出)、バンコマイシン注投与開始
8月15日 症状軽減、血液培養(結果陰性)、バンコマイシン注終了
*血液培養を実施すればわかりやすいですが、未実施でも全身症状からMRSA排菌
した(感染状態を脱出した)と医師が判断し、その旨診療録に記載することが重要
です。
8月16日 難病患者等入院診療加算250点算定開始。算定は9月5日まで。
レセプトコメントに「術後MRSA菌検出しバンコマイシン注投与。8月15日血液培養
陰性となるりバンコマイシン注終了」
*傷病名なら「MRSA感染症」でなく「敗血症」と診断できないか医師に確認
しましょう。
入院した日から算定できるので経済効果がありますね。
こんな指摘をしました 3 DPCコーディング変更 胸部中部食道癌 → 癌性悪液質
DPC算定 入院契機病名:胸部中部食道癌、全期間食なし、
MAP輸血、IVH実施、死亡退院、入院期間25日。
コーディング 060010xx97x1xx
入院時の体重の変化を確認してください。
看護記録によると食事がなかなかできず、
3か月で5㎏体重が落ちたようです。
入院後も食事ができずIVH管理をしていました。
ちなみに身長150㎝体重38㎏です。
ずいぶん体重減少があったのですね。
過去の食道癌の治療はなんでしたか?
切除術を実施し、化学療法を終了した患者さんです。
主な治療を終えた患者さんですね。
入院時のBMIは16.9。3か月前19.1。
癌性悪液質の状態じゃないでしょうか。
医師に確認してもらえますか。
食事摂取が困難で微熱が続いていたそうです。
体重減少と筋力低下があり癌性悪液質ということでした。
コーディングを180050xx97x0xxに変更します。
変更前の点数は63,529点、変更後は69,280点なので、
5,751点が増点されましたね。
係数の加点があるのでかなりの増額になりました。
ありがとうございました。