2022年7月のレセプト巡礼 【指摘3選】①人工腎臓・下肢末梢動脈疾患指導管理加算の算定は「0か100」 ②ギプス包帯1肢とは ③DPCコーディング 高アンモニア血症 → 肝性脳症

レセプト巡礼

猛暑に突入
 東京は熱帯夜が続いています。普段あまり冷房を使わないのですが、さすがに使わないと眠れません。首の後ろと腋窩に保冷剤を置き扇風機をまわし、いざ睡眠です。冷房は3時間で切れるように設定しますが、朝方暑くて目が覚めてしまいます。海外では40℃を上まわり死亡者もいるという報道を見ると、異常気象などという生易しいものではないのでしょうね。
 救急病院の皆様は熱中症やコロナ関連疾患の対応に追われていると思います。医事課の職員は「レセプト提出」という大きなイベントが毎月あるので、健康管理に気を付けて過ごしてください。 

旭川
 二か月連続の北海道です。旭川は動物園など人気のエリアですね。初日に思わぬハプニングがありました。宿泊したホテルの近くで火災です。火は見えませんでしたが、煙が上がり消防自動車と救急車が全部で6・7台集まっていました。緊急自動車が集まると緊迫した雰囲気になりますね。

旭川駅

帯広駅もそうでしたが、旭川駅の周りには広い空間があり、ゆったりした気持ちになりました。

 
2022年7月実績報告  
 
レセプト点検件数   1,171 件 
延点検時間       62時間 
移動距離合計      3,859㎞  
移動時間合計      33時間

レセプト点検に訪問した医療機関 
 1都1道4県 10病院 9日間
 *東京都2病院、北海道1病院、埼玉県3病院、神奈川県1病院、兵庫県2病院、茨城県1病院。

その他の業務
 *レセプト請求講習会講師 2回

乗車した路線
 *西武池袋線、西武新宿線、西武バス、西武有楽町線、地下鉄有楽町線、地下鉄副都心線、埼京線、 
  都営大江戸線、東武東上線、東横線、山手線、東海道新幹線、山陽新幹線、上野東京ライン、
  神戸市営地下鉄西神・山手線、神戸市営地下鉄海岸線、横浜線、東京モノレール、Airdo、
  日本航空、旭川空港バス。

乗降駅、乗換駅
 *練馬、所沢、小平、一橋病院前、池袋、戸田公園、小竹向原、志木、朝霞台、菊名、鴨居、
  中井、田無、池袋、品川、新神戸、西神中央、ハーバーランド、三宮・花時計前、地下鉄三宮、
  御崎公園、上野、石岡、大門、羽田空港第1ターミナル、羽田空港第2ターミナル、羽田空港、
  旭川空港、旭川駅バスターミナル。
  
おすすめの食べ物(移動の楽しみは食事と甘いもの) 
 旭加空港でゲット。ロイズは美味しいですね。ある病院の点検の時にキットカットの差し入れがありました。ありがとうございました。

ロイズ ナッツ 3本入り  ピンぼけですみません

指摘3選

1.人工腎臓、下肢末梢動脈疾患指導管理加算の算定要件は?

佐藤
佐藤

慢性維持透析の患者さんで、下肢末梢動脈疾患指導管理加算の算定のない

レセプトがありますね。

医事課
医事課

透析室から実施の連絡を受けて算定しています。

佐藤
佐藤

算定要件を知っていますか?

医事課
医事課

実施したときに算定するんですよね。

佐藤
佐藤

もちろんそうですが、「慢性維持透析を実施しているすべての患者に対しリスク評価等を行った場合に算定できる」と定められているので、慢性維持透析の患者さん全員をリスク評価し、算定しないとダメなんです。

医事課
医事課

そうなんですか

佐藤
佐藤

ですから透析患者さん全員にリスク評価をしてもらう必要がありますね。

医事課
医事課

リスク評価とは具体的にどんなことをするのですか?

佐藤
佐藤

糖尿病性腎症から透析を導入することが多いので、下肢動脈の血行障害や末梢神経障害を併せ持つ患者さんが多いですね。その結果下肢末梢の血流が滞り壊疽や壊死になり、肢の切断を余儀なくされる患者さんがいます。そうならないために下肢の視診で傷や潰瘍があるか、触診で冷感があるかなどを調べます。それがリスク評価です。

医事課
医事課

それを全透析患者さんに実施しなければならないんですね。

佐藤
佐藤

要件は慢性維持透析患者になっていますが、その他透析の場合もリスクは同じなので全員にしてもらった方がいいでしょうね。

医事課
医事課

四肢の切断になったら大変なので重要な評価なんですね。

佐藤
佐藤

昔、適時調査の時にたまたま慢性維持透析患者さんの入力データを確認されたとき、

一人だけ下肢末梢動脈疾患指導管理加算の算定がなかったんです。指摘された医事課長がしどろもどろのコメントだったので、自主返還になりました。苦い思い出です。

医事課
医事課

そんなことがあったのですね。

佐藤
佐藤

この加算は全員に算定するか算定しないかと極端なものなんです。

医事課
医事課
 

注意点はありますか

 

佐藤
佐藤

評価の結果をカルテに記載しなければならないことです。

「異常なし」「経過観察」「ABI検査実施」などの記載が必要です。

医事課
医事課

わかりました。透析室のスタッフや医師と情報を共有します。

2.ギプス包帯の1肢とは

佐藤
佐藤
左肘関節骨折で関節内骨折観血的手術を算定しています。
ギプスの算定は半肢780点ですが、部位はどこですか。
 
 
 
 
 
医事課
医事課

肘関節を挟み上腕遠位と前腕近位に巻いてあります。

佐藤
佐藤

それなら1肢1,200点に該当しますね。

医事課
医事課

早見表に「1肢」の記載がないんですが

佐藤
佐藤

関係する項目はJ122四肢ギプス包帯、2手指及び手、足(片側)、3半肢(片側)、5上肢、下肢(片側)になっています。1肢とは左右の上腕と前腕、左右の大腿と下腿のことで、ヒトには合わせて4肢があります。ですから上腕と前腕に巻いているので1肢に該当するんです。

 

医事課
医事課

上肢は肩の付け根から手関節まで巻くというわけではないんですか。

佐藤
佐藤

そういう場合があるかもしれませんが、この場合肘関節周囲を固定すればいいので、

必要以上の長さを固定しないと思います。

算定のポイントは関節を挟んでいるかどうかです。

医事課
医事課

半肢は1肢の半分なので、上腕だけか前腕だけと考えるんですね。

佐藤
佐藤

そうなります。

「体幹から四肢にわたるギプス包帯1,840点」があるので、覚えてください。

医事課
医事課

算定したことがありませんが、どんな時に実施するのでしょうか。

佐藤
佐藤

傷病名でいうと肩関節脱臼骨折や股関節脱臼骨折ですね。

肘関節や膝関節術後のギプスは1肢の範囲で固定できますが、

肩関節や股関節は体幹とつながっているので、

体幹部を一緒に固定することで骨癒合が促進されます。

 

医事課
医事課

体幹を固定されると大変でしょうね。

佐藤
佐藤

体幹から四肢のギプスはこんな感じです。

*インターネットにアップされた画像をお借りしました。

医事課
医事課

肩関節と股関節の骨折時に実施を確認し算定につなげたいと思います。

3.DPC 高アンモニア血症 → 肝性脳症

佐藤
佐藤
高アンモニア血症にコーディングしていますが、入院時併存症に慢性C型肝炎と肝性脳症があります。血中アンモニアが高くなると脳症を発症することがあります。ラクツロース・シロップの処方とカナマイシン注が投与されているので、肝性脳症が適正なコーディングではないでしょうか。
 
 
 
 
 
 

 

 

医事課
医事課

血中アンモニアが高値なのでコーディングを決定しました。

佐藤
佐藤

アンモニア値と肝性脳症は密接なので、最終診断が肝性脳症ということでいいと思います。

カルテに症状の記載はありますか?

医事課
医事課

見てみます。

羽ばたき振戦と書いてあります。

佐藤
佐藤

羽ばたき振戦は肝性脳症の代表的な症状なので、

コーディングは肝性脳症が適正ですね。

医事課
医事課
主治医に確認してみます。
コーディングを含め医事課に必要な学習は何でしょうか。
 
 
 
佐藤
佐藤

病気が発症する機序や、症状の勉強がいいと思います。

臓器の学習も必要ですね。どちらも時間がかかるかもしれませんが、

学習する過程で様々なことに気付き算定に役立つと思いますね。

医事課
医事課

佐藤さんもそうしてきたのですか。

佐藤
佐藤

はい、人体の学習ができる本や、今はインターネットで学習できるので、

意欲と時間を作れば可能ですよ。

 

医事課
医事課

おすすめの本などありますか。

佐藤
佐藤
 
 
 
サイオ出版社が出している「人体解剖ビジュアル」がおすすめです。
カラーなので見やすく、臓器ごとに章を区切ってあり代表的な疾患の説明があるので理解しやすいです。
現在TMG本部・医事業務指導室主催の講習会を2つ受け持っています。「レセプト請求リーダー養成講座」と「DPCスキルアップ講座」です。前者は出来高算定の学習が中心で、後者はコーディングの精度向上が目標です。
 
 
医事課
医事課

人体解剖ビジュアル本屋さんで探してみます。

講習会はどんな内容ですか?

佐藤
佐藤

どちらも年間10回開催です。2021年度に実施た項目だけ上げますね。

毎回人体と疾患の学習をして算定演習とコーディング演習をしてもらっています。

2022年度はリーダー養成講座が第6期、DPCスキルアップ講座が第7期です。
定員はそれぞれ10名です。

リーダー養成講座
・呼吸器疾患
・消化器疾患
・皮膚、筋、骨疾患
・循環器疾患
・脳神経疾患
・泌尿器疾患
・感覚器疾患
・血液、リンパ、女性生殖器、乳房   
・算定演習
・終了試験
DPCスキルアップ講座
・DPCとは
・筋、骨疾患
・循環器疾患
・消化器疾患
・脳神経疾患
・泌尿器疾患
・ICDの引き方、コーディング演習
・コーディング演習 サマリ、診療録から   
・コーディング演習
・終了試験
2021年度リーダー養成講座、DPCスキルアップ講座の内容
医事課
医事課

臓器系統別の学習ですね。

自院も検討します。

 

 今(8月3日)埼玉県朝霞市にある「TMGあさか医療センター」のベッド上で書いています。1日夜に歯痛が出現し微熱がありました。いつもレセプト点検をしている病院なので2日に緊急受診をお願いし口腔外科を受診しました。左側頬部蜂巣炎でした。造影CTで膿の貯留が多量ということで切開しました。術式はJ013‐3口腔内消炎手術(骨膜下膿瘍・口蓋膿瘍等)です。歯科の手術はJコードです。切開後抗生剤点滴目的でそのまま入院しました。久しぶりに体温が38度になりましたがPCRは陰性です。CRPが9.3あったのでかなりの重症だったと思います。
 口腔外科のS先生に執刀していただき、排膿後ドレーンを留置中です。その後1日4回ピシリバクタを点滴しています。切開と抗生剤のおかげで解熱できCRPが下がれば4日に退院の予定です。
 4日午前中にレセプト点検がありましたが、TMG本部・医事業務指導室の方に代わってもらい、午前中に退院できたら午後から予定通りレセプト点検開始です。健康の大切さを改めて認識しました。皆様もご自愛ください。

結果報告
 4日朝の採血でCRPが4.4まで下がり、体温は入院2日目午後から平熱だったので退院の許可をいただきました。オーグメンチン配合錠250RS7日分の退院処方と、通院している歯科への診療情報提供書とCT画像をバッグに入れ、急ぎ帰宅しシャワー後予定通り午後からレセプト点検に出かけました。

最後までお読みいただきありがとうございます。
では、次回をお楽しみに。8月末日を予定しています。