2020年診療報酬改定から1月
5月10日は改定後初めてのレセプト提出です。ゴールデンウイークは毎年請求担当者泣かせで、普段と比べ極端に実稼働日数が少なくなると思います。私は1979年に医療機関に入職し、2001年に介護老人保健施設の事務長になるまでの22年間、医事課の現場にいましたのでゴールデンウイークを丸々休んだことがなく、必ず何日間か出勤していました。介護老人保健施設に異動し初めてカレンダー通りの勤務を経験し、これが「ゴールデンウイークか」と思ったことを覚えています。
今年は5月8日が日曜日なので業務調整が難しそうです。さらに改定後初めての提出になるので精神的にも大変だと思います。連休中に出勤される方もいらっしゃるでしょう。このような状況でもしっかり点検し提出してください。私は3連休の中日、4日にレセプト点検があります。
医師事務作業補助体制加算1の施設基準に変更がありました。
旧 医師事務作業補助者の延べ勤務時間数の8割以上の時間において、医師事務作業補助の業務が
病棟又は外来において行われており、かつ、それぞれの配置区分ごとに基準を満たしていること。
新 当該保険医療機関における3年以上の医師事務作業補助者としての勤務経験を有する医師事務作業
補助者が、それぞれの配置区分ごとに5割以上配置されていること。
今後ますます医師事務作業補助者の役割が大きくなることが予想されます。当該加算は、病院で働く
事務職が関与できる診療報酬の一つです。届出医療機関は院外研修を実施し研鑽を積みましょう。
私は以前勤務していたIMSグループで、「医師事務作業補助者32時間の研修テキスト」を作成し、講師を担当して80名以上の医師事務作業補助者を誕生させました。今後、Eラーンニングを含め、研修実施を検討しています。
医師事務作業補助 体制加算 |
2008年 | 2022年 1 | 2022年 2 |
15対1 | 1,050点 | 975点 | |
20対1 | 835点 | 770点 | |
25対1 | 355点 | 705点 | 645点 |
30対1 | 610点 | 560点 | |
40対1 | 510点 | 475点 | |
50対1 | 185点 | 430点 | 396点 |
75対1 | 130点 | 350点 | 315点 |
100対1 | 105点 | 300点 | 260点 |
2022年4月実績報告
今月は少ない稼働でした。レセプト点検のご依頼をお待ちしております。
レセプト点検件数 697件
延点検時間 28.7時間
移動距離合計 1,075㎞
移動時間合計 23.0時間
レセプト点検に訪問した医療機関
1都3県 8病院 6日間
*東京都2病院、埼玉県3病院、神奈川県1病院、静岡県1病院、兵庫県1病院。
その他の業務
*打合せ 施設基準関連
乗車した路線
*西武池袋線、西武新宿線、西武バス、西武有楽町線、地下鉄副都心線、東武東上線、埼京線、
武蔵野線、湘南新宿ライン、東横線、横浜線、東海道新幹線、山陽新幹線、山手線、
地下鉄有楽町線、神戸市営地下鉄西神・山手線、神戸市営地下鉄海岸線。
乗降駅、乗換駅
*練馬、所沢、小平、一橋病院前、戸田公園、小竹向原、志木、秋津、新秋津、北朝霞、朝霞台、
戸塚、菊名、鴨居、田無、高田馬場、池袋、新横浜、熱海、品川、新神戸、三宮、
三宮・花時計前、御崎公園。
おすすめの食べ物(移動の楽しみは食事と甘いもの)
*御座候(神戸三宮・神戸阪急店)
神戸訪問時の定番です。赤あんと白あんの大判焼き。
よもぎ餅が売っていました。こちらもおすすめ。
おいしいうえに安いので、食べ過ぎに注意。少し自制中。
1.人工腎臓その他が慢性維持透析で算定できる指摘 導入期1月の考え方
2月28日に人工腎臓を導入した末期腎不全の患者さんです。
3月38日の透析を人工腎臓その他で算定しています。
これはどういう理由ですか?
導入後1か月は「その他透析」になるので算定しました。
やはりそうですか。算定でいう1月というのは歴月(れきげつ)のことで、
特別な計算方法があるんです。
2月28日から30日数えて3月29日までだと思ってました。
計算方法があるんですね…
あります。月に1を足し、日から1を引いて求めます。2月+1=3月。28日-1=27日。
つまり2月28日から1月は3月27日なので、3月28日は慢性維持透析で算定できます。
そういう計算なんですね。
どこかに記載はあるのでしょうか。
医学通信社の診療点数早見表の9ページに記載があります。
あまり開かれないページかもしれませんが、重要な記載があるので読んでください。
今まで開いたことがありませんでした。
例えば、J001-4重度褥瘡処置は初回算定日から2月算定できますが、
2月28日が初回の場合、2月+2,28日-1なので4月27日まで算定できます。
これと別に「月1回算定する」ものは、月が替われば算定できるので、
前月末日と今月1日に2日連続で実施しても両方算定可能です。
リハビリテーションの日数と考え方が違うんですね。
リハビリテーションは150日などと決められているので、
指折り数える必要がありますね。
他に算定回数で気を付けることはありますか。
週に1回算定できる点数がありますよね。入院時栄養食事指導料など。
1週は日曜日から土曜日なので、前週の金曜と今週の月曜日に指導したときは、
両方算定できます。栄養士の方と情報共有してください。
ワンポイント J001-4重度褥瘡処置の算定要件が変わりました
*算定できる褥瘡
旧 DESIGN-R分類 D3~D5
新 DESIGN-R2020分類 ⅾ2以上
DESIGN-R2020分類内容
d0 | d1 | d2 | D3 | D4 | D5 | DDTI | DU |
皮下損傷・発赤なし | 持続する発赤 | 真皮までの損傷 | 皮下組織までの損傷 | 皮下組織を超える損傷 | 関節腔、体腔に至る損傷 | 深部損傷褥瘡(DTI)疑い | 壊死組織で覆われた深さの判定が不能 |
2.B001 13 在宅療養指導料算定の指摘 在宅寝たきり患者処置指導管理料算定あり
膀胱癌の患者さんに、退院時在宅寝たきり患者処置指導管理料を算定しています。
在宅で行う処置は何ですか?
尿管皮膚瘻を増設したので、ストーマ処置です。
入院中は創傷処置で算定していたんですね。
そうです。
自宅での処置の仕方を指導していませんか?
看護師に確認してください。看護記録に記載があるかもしれません。
電子カルテを見てみます。
処置のやり方を指導と記載があります。
やり方を教えないと患者さんや家族の方は、
一人でできないので必ず指導するはずです。
算定できる点数があるんですか?
B001 13 在宅療養指導料170点が算定できます。
ただし1回の指導時間が30分以上という要件があります。
記録がありますか?
はっきりとした時間の記載はないですが、
「午後3時頃から一緒に処置を行う」とあります。
何回か繰り返しやっているようです。
処置は行うのには訓練がいるので正しくできるまで指導するでしょう。
私はこの点数は看護の質を上げるものだと思っているので、
「○○時~○○時に指導」と記載を依頼し、算定につなげてください。
他にインスリン自己注射を導入するときに教育入院しますよね。
インスリン投与の必要性を指導するのは医師ですが、針の刺入部位や消毒の仕方、
インスリン単位の確認方法、針の刺し方などを指導するのは看護師の仕事です。
教育入院のパスに入れると算定件数が増えると思います。
わかりました。パス委員会に話してみます。
在宅療養指導料
*指導する職種
医師の指示を受けた保健師、助産師、看護師
*指導内容
在宅療養上必要な指導を個別に実施したとき。
*対象患者
・在宅療養指導管理料を算定する患者。
・外来で器具(人工肛門、人工膀胱、気管カニューレ、留置カテーテル、ドレーン等)を装着し
ている患者。
*記載の留意点
30分以上の指導が必要なので、実際の指導時間を記載する。
外来で30分以上指導することは難しく、退院時在宅療養指導管理料を算定する症例が最適。
3.DPCコーディングの指摘 胸椎圧迫骨折と骨粗鬆症・病的骨折
アルファカルシドールの投与があるので確認してください。
原発性骨粗鬆症があり、そのための脆弱性骨折でした。
それならコーディングは骨粗鬆症・病的骨折に該当しますね。
骨折なのでMDC16だと考えました。
骨折したときの様子はわかりますか。
ドスンと座ったみたいです。
その程度で圧迫骨折を起こすのは骨粗鬆症があるからこそですね。
当院は脊椎圧迫骨折の患者さんが多いので、
骨密度など医師に確認し適切なコーディングに心がけます。
骨粗鬆症の4大骨折
・上腕骨顆上骨折 ・脊椎圧迫骨折 ・橈骨遠位端骨折(コーレス骨折) ・大腿骨頚部骨折
これらの骨折は骨密度が低下したことによるものです。
受傷時の状態、年齢、手術、投薬、注射の内容から骨粗鬆症・病的骨折か判断が必要です。
4大骨折以外でも骨盤骨折は骨粗鬆症・病的骨折の可能性が高い。
*30日間保存的治療で入院したときの点数比較 (新点数)
・脊椎圧迫骨折 160690① 55,952点 ・骨粗鬆症病的骨折 070370① 56,640点
最後までお読みいただきありがとうございました。
では、次回をお楽しみに。5月31日予定です。