国民の休日
早いもので今年も12月です。残すところ3週間と少し。年末になると毎年同じ内容を発信しています。それは「国民の休日」です。日曜日以外の祝日は「国民の祝日に関する法律」で定められています。これはカレンダーが赤い表示になっていることからわかります。日曜と祝日に受診したときは一部の医療機関を除き休日加算か深夜加算が算定できます。12月になると「今年は○○連休」とニュースに取り上げられるように、多くの製造業や事務系の会社は事業所単位で休みになり、国内外の長期旅行や里帰りなどの移動が活発になります。病医院も年末年始に休診になると思いますが、救急患者の受け入れがあるので年末の遅い日まで通常診療を実施しているところが多くあります。また病床を持つ病医院は入院患者さんがいらっしゃるので休みにするわけにいきません。
他の業種が休みでも医療機関は多くの職員が勤務していています。勤務者には出勤手当などつくので人件費がいつもより増えます。そこで診療報酬に「国民の休日」ができました(私見です)。12月29日~31日と1月2日、3日です。1月1日は元旦なので祝日ですが都合6日間は休日扱いです。ここで問題になるのは12月29日や30日まで通常診療をしているところです。下記の表で検証しましょう。
0時~6時 | 6時~8時 | 8時~18時 | 18時~22時 | 22時~24時 |
深夜 | 時間外 | 時間内 | 時間外 | 深夜 |
0時~6時 | 6時~8時 | 8時~18時 | 18時~22時 | 22時~24時 |
深夜 | 休日 | 時間内 | 休日 | 深夜 |
0時~6時 | 6時~22時 | 22時~24時 |
深夜 | 休日 | 深夜 |
結論から言うと12月29日30日に通常診療を行っている医療機関には時間外加算がないということです。国民の休日に通常診療を行わない場合は勤務担当者以外は出勤しないので、当番で出勤した場合今日は休日と思っているので表3と理解します。しかし診療を行っているところは朝いつも通りに出勤するので表1と錯覚してしまいます。正しくは表2に該当するので算定誤りが生じてしまいます。29日6時~8時と18時~22時が算定誤りゾーンです。
入院の算定も同様で1,000点以上の緊急処置と緊急手術を深夜帯以外に行ったときは休日加算になります。クモ膜下出血や腹膜炎で緊急入院した時や、院内で転倒し前腕部挫創のためナートした時など、休日加算を忘れないようにしてください。外来患者の慢性維持透析・その他透析も「時間外・休日加算380点」の対象になります。
2023年11月実績報告
レセプト点検件数 2,759件
延点検時間 52時間
移動距離合計 4,401㎞
移動時間合計 47時間
レセプト点検に訪問した医療機関
1都4県 11病院 11日間
*東京都2病院、埼玉県4病院、兵庫県3病院、愛知県1病院、茨城県1病院。
その他の業務
*算定講習会、DPCコーディング講習会 各1回
乗車した路線
*西武池袋線、西武新宿線、西武バス、西武有楽町線、地下鉄副都心線、埼京線、東武東上線、
東海道新幹線、東海道本線、常磐線、山手線、神戸地下鉄西神山手線、神戸地下鉄海岸線
JR神戸線。
乗降駅、乗換駅
*練馬、所沢、小平、一橋病院前、池袋、戸田公園、小竹向原、志木、朝霞台、田無、刈谷、
品川、名古屋、戸塚、上野、石岡、新神戸、神戸、兵庫、長田、西神中央、旧居留地・大丸前、
御崎公園、三宮。
おすすめの食べ物(移動の楽しみは食事と甘いもの)
【ココイチ】
やっぱりココイチのカレーは美味しいです。らっきょうをトッピングしますが、カレーの上に
のせるのが佐藤流です。
指摘3選
1.「超重症児(者)入院診療加算、準超重症児(者)入院診療加算」に施設基準はありません
コーディングデータに人工呼吸、IVH、経管栄養があります。
超重症者入院診療加算が算定できると思いますが、算定実績はありますか。
急性期病院でも算定できるのでしょうか。
よく確認していませんでした。どんなときに算定できるのでしょうか。
その下に1、2とありますね。
運動機能には大きく分けて立位、座位、臥位とあります。この診療報酬は超重症の患者さんに算定できるので、臥位と座位の場合に算定できるという意味です。
具体的には?
立位は立てる歩ける、座位は車いすで移動する、臥位はㇲトレッチャーで移動する。
こういうイメージです。
ALSの患者さんはストレッチャーが多いですね。
病室からCT撮影の時はベッドごと移動しているところを見たことがあります。
1はクリアですね。あとは判定スコアの(1)~(14)までに該当する項目を探すことです。
この患者さんは(1)人工呼吸10点、(7)IVH10点、(8)経管栄養5点。これだけで25点なので超重症者入院診療加算に該当します。他に(2)(6)に該当するかもしれません。
それから重要なのが(14)体位交換を1日に6回以上です。筋力低下で寝返りできないと思うので、日勤で3回、夜勤で3回体位交換すれば6回になります。この3点の加算で25点以上になることがあるんですよ。
状態が6か月以上継続とは入院してからではないんですか。
この加算が算定できない理由がそこにあります。「入院してから6か月」という記載はないですね。ALSの患者さんは在宅療養で頑張っている場合や障害者病棟に入院していることがあります。ですから判定スコアの状態が始まってから6か月ということで、起点は当院入院日ではないです。
ということは入院初日から算定できるということですか。
そうです。初日から400点、準超重症者は100点が算定できます。大きな点数ですね。
それだけケアが大変だということです。もう一つ、自宅から入院した場合や他院のICU等から転入した場合は「救急・在宅重症児(者)受入加算」として200点を5日間算定できます。
医療現場の苦労を点数化できる入院基本料等加算の一つなので、算定できる取り組みをしてください。体位交換や定期導尿など、看護部に聞かないとわからない項目があるので連携しましょう。判定スコア票を作成し取り組んでいるところもありますよ。
注意点として脳卒中後遺症と認知症の患者さんは算定できず、一般急性期は算定上限が90日です。
現場と協力し算定の有無を判断するように打合せします。
2.仙骨部感染性褥瘡・ステージⅢ 褥瘡の深さは?
皮膚科軟膏処置55点を算定していますが、仙骨部の処置ですか。
看護経過表に褥瘡処置と記載がありました。
DESIGN-R2020分類が書いてありませんか。
J001-4重度褥瘡処置が算定できます。早見表を確認してください。
創傷処置や皮膚科軟膏処置に比べ高い点数が設定されています。
記載を確認しました。100㎠以上の皮膚科軟膏処置55点が
重度褥瘡処置だと98点なのでかなり点数が高くなります。
ポケットを形成したものなど深度のある褥瘡処置は大変なので
算定につなげましょう。ポイントは褥瘡軟膏の処方です。
入力時に間違っても点検時に気が付くことができるはずです。
3. DPC 脱水症に抗生剤投与?
脱水症で入院、10日間で抗生剤の点滴を7日実施しています。
脱水の治療ではないので投与理由を確認してください。
尿沈渣3回、尿培養(1菌種)なので尿路感染症ではないでしょうか。
それから抗生剤点滴が開始されています。
#1脱水、#2UTIになっています。
入院後検査で尿路感染症と診断し#2と記載したんでしょうね。
脱水症の治療にどんなものがありますか?
入力や点検の時に気が付くといいですね。
私がレセプト点検で指摘する内容の多くは抗生剤投与の見落としです。
そうです。脱水の原因は他の疾患にあるので原疾患にコーディングするのがいいですね。
この事例は尿路感染による発熱や飲水不足から脱水になったと思います。
脱水症に関連する疾患に熱中症があります。熱中症の副傷病に尿路感染症があることから、
尿路感染症と脱水症は因果関係があると理解しています。
脱水症は外来で治療できる状態もあるので、緊急入院したということは他の理由があると判断するのがいいですね。
わかりました。救急医療管理加算算定の都合で入院契機を脱水症にすることが多いので、
契機病名と別にコーディングに注意します。
11月19日~21日神戸、23日24日神戸、26日27日愛知、29日30日とハードスケジュールでした。その合間に時間を作り京都の東寺にある五重塔や国宝の仏像を見てきました。京都駅にある空中経路もいいですね。京都駅から東寺の往復、空中経路を階段移動し1時間30分位歩き回りました。リフレッシュ出来ました。
次回は12月下旬を予定しています。いつも予定は未定になっています。頑張ります。