2024年12月レセプト巡礼 №42【指摘3選】①死亡日の継続処置をしっかり算定 ②DPC 肺癌で抗生剤投与 → 肺炎はありませんか ③DPC 症候性てんかん ビムパットは手術・処置2に該当します  

レセプト巡礼

 

 2025年謹賀新年
  新しい年の始まりです。どのように新年になったでしょうか。1日から勤務された方も
 いらっしゃると思います。大晦日が当直勤務なら病院で新年を迎えた方もいらっしゃるのでは
 ないでしょうか。私も病院勤務時代には何度か経験しました。レセプト業務で3が日からの
 勤務も常態でした。今となっては懐かしい想い出です。
 年末年始とGWは請求担当者泣かせです。

  昨年はおかげさまで多くのレセプトを点検することができました。またレセプトを介し
 皆様と交流することができました。その中で算定や査定に関する質問も増えてきました。
 マスク越しではありますが会話の量で距離感が近くなっていると感じることができます。
 また、多くの傷病名と触れることで知識の蓄積ができたと実感しています。皆様には
 レセプトの印刷と点検場所を用意していただくなど、お手間をかけていると思いますが、
 集中して点検し数多く指摘することで感謝の気持ちをお伝えしたいと思っています。

 本年もどうぞよろしくお願い致します。

 一年の計は元旦にあり
  医療機関の事業年度は4月から3月が多く当社も同じです。一年の目標、年度の目標を
 医事課全体、入院チーム、外来チーム、診療情報管理部門などで作成していることと
 思います。部署内に掲示しているところもあります。有言実行は目的を明確にします。
 目的を決める方法にトップダウンとボトムアップがありますが前者の方が多いかもしれません。
 トップダウンは意思決定が早くできますが、現場の意向を汲みとっていないこともあるので
 随時ヒヤリングを行い、意見を吸い上げる努力をしているでしょう。目標は目的を達成するため
 にあります。
  両者の違いは、前者は目的までの指標で後者はゴールです。「算定誤りをなくす」という
 目的を設定したらそのために「複数人の2次点検実施」「医療側と診療報酬項目を協議する」
 「第3者評価の実施(これは当社が担います)」などを決めておくと業務に取り入れることが
 できるようになります。
 
  職員数が多い部署で共通の意思決定を行う手法に「KJ法」があります。これは文化人類学者の
 川喜田二郎さんが考案したものです。KJ法では参加者全員の意見を吸い上げることができる
 メリットがあります。時間を要するというデメリットがありますが、その時間で部署内の
 コミュニケーションを図ることができるので一度チャレンジしてはいかがでしょうか。

 当社の目的
  ・現場の役に立つ指摘を
  ・情報提供と情報共有
  ・質問には丁寧に回答

2024年12月実績報告  
 
レセプト点検件数    1,155件 
延点検時間        53時間 
移動距離合計       3,052㎞  
移動時間合計       37時間

レセプト点検・適時調査支援に訪問した医療機関 
 1都5県 9病院 8日間 
 *東京都2病院、埼玉県2病院、神奈川県1病院、千葉県1病院、愛知県1病院、兵庫県2病院 

その他の業務
 *出来高算定リーダー養成講座、DPCコーディングスキルアップ講座 各1回
 
乗車した路線
*西武池袋線、西武有楽町線、東武東上線、埼京線、東京メトロ副都心線、武蔵野線、
 湘南新宿ライン、東海道新幹線、山陽新幹線、神戸地下鉄西神山手線、東海道本線、
 常磐線、新京成線、新京成バス、西武新宿線、中央線、横浜線。

乗降駅、乗換駅
*練馬、池袋、戸田公園、小竹向原、志木、戸塚、西国分寺、八王子、中野山王、菊名、
 鴨居、田無、松戸、鎌ヶ谷大仏、新鎌ヶ谷、横浜、品川、名古屋、刈谷、新神戸、三宮、
 西神中央、三ノ宮、神戸、ハーバーランド、御崎公園。


移動の楽しみは食事と甘いもの、たまに観光 
【生石(おうしこ)神社、石の宝殿】
 帰京を1日遅らせ兵庫県高砂市にある生石神社の石の宝殿をお参りしました。
リンクは「一般社団法人 高砂市観光交流ビューロー」からです。
石の宝殿は日本三奇の一つで巨石が池に浮かんでいるように見えることから「浮石」と
呼ばれているそうです。パワーストーンがありパワーをもらいました。神社の上には
見晴らしのより岩山があります。宝殿駅から歩いて30分位のところにあり、散策を含め
1時間30分歩き回りいい運動になりました。


   

指摘3選

1.死亡日の喀痰吸引、酸素吸入、IVHは確認しましたか?

佐藤
佐藤

死亡退院の患者さんです。実日数14日で鼻腔栄養、酸素吸入、喀痰吸引、

IVH共に算定が13回ですが死亡日の実施はありませんか?

医事課
医事課

カルテ確認します。酸素吸入は死亡時刻の0時30分まで実施、

鼻腔栄養と喀痰吸引は未実施です。IVHは薬剤更新が前日でした。

酸素吸入は算定もれです。

佐藤
佐藤

IVHは死亡時まで継続しているのではないでしょうか。

看護経過表はどうなっていますか。

医事課
医事課

お待ちください。14日までIVH実施を表す線が引いてありますが、

薬剤の記載はありません。

佐藤
佐藤

薬剤の記載はなくてもIVHカテーテルが挿入されている限り、

通常は注射薬を持続的に注入するので手技料の算定は可能です。

医事課
医事課

そうなんですね。勉強不足です。

佐藤
佐藤

点滴注射は入院の場合1日500ml以上でないと手技料を
算定できませんが、IVHには投与量の基準がないので

カテーテル抜去まで薬剤注入があれば算定できます。

点滴も抜針するまで点下は続いています。

問題は0時過ぎに500mlの注入があったかどうかです。

医事課
医事課

0時過ぎに薬剤追加のオーダーがないと確認しづらいです。

佐藤
佐藤

看護記録に0時前の薬剤更新時に残量の記載がある場合は

注射量がわかる可能性があるので、同じ事例があったときは

確認しましょう。

 
 

2.DPC 右下葉肺癌 抗生剤投与理由は?

佐藤
佐藤

右下葉肺癌のコーディングです。化学療法実施で処置・手術2を選択。

次の分岐で「副傷病あり・なし」に誘導されています。

タゾピペを点滴していますが適応症は何でしょうか。

肺炎なら副傷病ありに該当します。

医事課
医事課

カルテ確認します。

肺癌T2に該当しそれによる閉塞性肺炎と記載がありました。

佐藤
佐藤

それでは副傷病ありになりますね。

癌の患者さんは腫瘍熱でナイキサン錠を投与することがありますが、

タゾピペは世代の高いペニシリン系抗生物質なので感染症と判断できます。

適応症を見ると「敗血症、胆管炎、胆嚢炎、肺炎、腹膜炎、腹腔内膿瘍」など

重症疾患が多いので抗生剤を点滴したときは適応症を確認する習慣があると

いいですね。

医事課
医事課

14日の入院なので040040⑤が040040⑥に変更し

35,062点から38,448点に3,386点増点しました。

 

適応症を把握する方法はありますか

佐藤
佐藤

薬価基準早見表など書籍がありますが、

私は点検するときに医薬品検索e・pharma」を使っています。

効能効果、薬効分類、投与方法、同効薬がわかりやすく記載されています。

医事課
医事課

閲覧してみます

 
 

3. DPC 症候性てんかん ビムパットは手術・処置2に該当します

佐藤
佐藤
症候性てんかんのコーディングですが出来高対比がマイナスで、
出来高のレセプトを見ると注射料の点数が高いですが内容を
教えてください。
 
 
 
 
 
 
医事課
医事課
はい、ビムパット200㎎を7日間投与しています。
 
佐藤
佐藤
ビムパットは薬剤名で一般名がラコサミドなので、
手術・処置2に該当しますよ。DPC早見表を確認してください。
3にラコサミドとぺランパネルがありますがこれらは
全て一般名表示なので薬剤名を確認する必要があります。
 
医事課
医事課
確認はどうすればいいでしょうか
佐藤
佐藤
早見表が誘導しています。ラコサミドを見るとP.362参照と
あるのでそこを見ます。
 
医事課
医事課

ビムパット点滴静注100㎎、200㎎と記載がありました。

 

佐藤
佐藤

入院期間が15日なので点数を比較すると
手術・処置2③を選択前は33,267点、
選択後は39,622点になり6,355点の増点です。
病院係数を加えると出来高対比をカバーできますね。

医事課
医事課

係数込みで出来高対比がほぼ解消できます。
提出前なのでよかったです。次から気を付けます。

ワンポイント
ワンポイント

見逃しが多い「手術・処置2」該当薬剤 *一般名と薬剤名が異なるもの
・エダラボン(ラジカット)
・ラコサミド(ビムパット、フィコンパ)

・ガンマグロブリン(ハイゼントラ、ピリヴィジェン)

・ボセンタン(トラクリア)

 

*化学療法薬や遺伝子組換え薬は高額で一般名から薬剤名を類推するのが
 困難なものが多くあります。

 出来高対比がマイナスの場合で出来高レセプトの縦計で注射料が高く
 かつ手術・処置2の一般名があるときは、必ず注射薬を確認します。

 特に一般名の語尾が「mab(~マブ)、~nib(~ニブ)」の時は、

 手術・処置2に該当することが多く、選択しないと大きなマイナスになります。

 

 

 2025年令和7年が始まりました。東京は好天続きですが大雪に見舞われた地方があり、
降雪による死亡事故のニュースも伝わってきます。地方や地域により生活環境に大きな違いが
ありますが、今年1年が穏やかに過ぎていってほしいと願っています。

 診療報酬改定の翌年は施設基準の管理を除くと改定項目の解釈が定まっていて、安定的な請求が
なされていることと思います。さらなる安定請求を目指して下さい。安定は保守ではないので
積極的な算定も必要です。お力になれることがあればお声掛けして下しい。

 しばらく途絶えていた請求勉強会を始めようかと考えています。当社単独か、関連企業と共同か
方法はあると思うので検討しています。

次回は気合を入れて節分前を予定しています。

 
                                      #42