2021年7月のレセプト点検巡礼結果 【算定誤り、指摘事項】 検体採取料・関節穿刺、全身麻酔困難患者、DPCコーディング変更(上行結腸癌、副傷病なし → 術後イレウス発症 副傷病ありに該当)

レセプト巡礼

7月の巡礼が終わりました。季節は梅雨から夏へ、移動が大変な時期になりました。
病院の機能により患者さんの重症度はさまざまであり、レセプトも多くのバリエーションがあります。
移動時間中に気持ちをリフレッシュさせ、次の病院に着いたときは新たな気持ちでレセプトに向き合います。
医事課職員が必死に作成したレセプトなので、点検する私も真剣です。

  • レセプト件数 1,001件
  • 点検時間合計 55時間
  • 移動距離合計 2,850㎞
  • 訪問した医療機関 
    1都6県 8病院 7日間
    *東京都、埼玉県、神奈川県、静岡県、兵庫県、愛知県、新潟県
  • 乗車した路線
    *西武池袋線、西武新宿線、西武多摩湖線、西武有楽町線、東武東上線、武蔵野線、埼京線、
     東横線、副都心線、横浜線、東海道新幹線、山陽新幹線、神戸市営地下鉄西神、
     神戸市営地下鉄海岸線、名古屋市営地下鉄東山線、上越新幹線、北陸鉄道ほくほく線

こんな指摘をしました 1  検体採取料 関節穿刺

佐藤
佐藤

傷病名が化膿性膝関節炎で、関節液培養検査を実施していて関節穿刺の算定がありませんが…

医事課
医事課

D405関節穿刺100点算定もれでした

佐藤
佐藤

関節穿刺には処置料(J116 120点)検体採取料(D405 100点)の2種類があり、DPC算定の場合は検体採取料が算定できるので注意が必要だね。 

こんな指摘をしました  2  全身麻酔困難患者

佐藤
佐藤

傷病名:胸部大動脈瘤。胸部大動脈瘤切除術実施、併存症にうっ血性心不全あります。

NYHA分類はわかりますか?Ⅲ以上なら全身麻酔困難患者に該当します。

医事課
医事課

NYHAⅢでした。全身麻酔困難患者で算定できますね。常にスコアを確認するようにします。

 
佐藤
佐藤

NYHA分類Ⅲ・Ⅳなら全身麻酔困難患者に該当するので、うっ血性心不全や急性心不全と診断されたときは、主治医にNYHA分類を聞いておくといいですね。

  NYHA分類( NYHA:ニューヨーク心臓協会 New York Heart Association )
  *クラスⅠ~クラスⅣに重症度が分類されています。 
  *クラスⅢとⅣは重症で人工腎臓・障害者等加算以外では、
   「L008マスク又は内挿管による閉鎖循 環式全身麻酔」の麻酔困難患者(ア)に該当し、
   麻酔料が高くなります。
    

こんな指摘をしました 3 DPCコーディング変更 上行結腸癌・副傷病なし → 術後イレウス発症 副傷病あり

佐藤
佐藤

DPCコーディング 060035xx010x0x 上行結腸癌、結腸悪性腫瘍手術。コーディングデータから、連日パンテニール注を点滴注射しているので、イレウスがあるかどうか確認してください。

医事課
医事課

術後にイレウスを発症したためパンテニール注を連日投与していました。K91.3術後腸閉塞に該当するため「副傷病あり」にコーディングを変更しました。

佐藤
佐藤

樹形図を選択するときに、定義副傷病あり・なしにたどり着いたら、6桁分類に対応するICDがあるかどうか必ず確認しましょう。

この症例は「060210ヘルニアの記載のない腸閉塞」が定義副傷病名になっています。DPC点数早見表で060210を確認すれば、K913術後腸閉塞が該当するとわかります。

定義副傷病名なしの時は2SDが30日、ありの時は60日になるので、DPC点数がかなり違うよね。ひと手間かけて、提供した医療資源を回収するようにしてください。

佐藤
佐藤

格言「副傷病なしを見たらありと思え!」
意識すると副傷病を見つけることができます。