人生いろいろ、レセプトもいろいろ。
レセプトは患者さんの人生のある側面を映すものです。傷病名を見れば様々なことがわかります。私がレセプト点検をするときは傷病名から患者さんの置かれた状況や生活様式を考えます。少し大げさな言い方ですが何が言いたいかというと傷病名はそれだけ重要だということです。人生にストーリーがあるように傷病名にもストーリーがあります。異質なものがあると「?」となります。
チェックソフトにかけると適応症がない薬剤や医療行為を抽出してくれますが、安易に選択せずカルテの記載から選択しましょう。特に傷病名候補の上位にあるものを選んでしまうと傷病名のストーリーが壊れてしまうような気がします。ストーリーが読めない傷病名は「レセプト病名」と思われているかもしれません。
新型コロナ5類に移行
新型コロナウィルス臨時的診療報酬が5月8日以降大幅に変更されました。院内トリアージ実施料や救急医療管理加算の呼吸不全中等症の倍数算定は点数が下がりましたが存続しています。
公益社団法人・東京都医師会が公開している簡易版通知が見やすかったので確認してください。
2023年5月実績報告
レセプト点検件数 950件
延点検時間 74時間
移動距離合計 3,552㎞
移動時間合計 36時間
レセプト点検・施設基準点検に訪問した医療機関
1都4県 9病院 9日
*東京都2病院、埼玉県3病院、兵庫県2病院、茨城県1病院、愛知県1病院。
その他の業務
*算定講習会、DPCコーディング講習会 各1回
乗車した路線
*西武池袋線、西武新宿線、西武バス、西武有楽町線、地下鉄有楽町線、地下鉄副都心線、埼京線、
武蔵野線、東武東上線、東横線、山手線、東海道新幹線、東海道本線、名鉄名古屋本線、常磐線、
上野東京ライン、横浜線、神戸市営地下鉄西神・山手線、神戸市営地下鉄海岸線、JR神戸線。
乗降駅、乗換駅
*練馬、所沢、池袋、戸田公園、小竹向原、志木、朝霞台、北朝霞、秋津、新秋津、小平、田無、
菊名、刈谷、豊橋、新横浜、上野、石岡、新神戸、西神中央、三ノ宮、新長田、御崎公園。
おすすめの食べ物(移動の楽しみは食事と甘いもの)
【とつかつ和幸】
西神中央のお店で2度目の利用です。かつはもちろんですが、ご飯とキャベツが本当に美味です。
会津産のお米を使っているそうです。ご飯、味噌汁、キャベツはお代わり自由です。
ぜひお試しください。
指摘3選
1.静脈麻酔を算定していますか
キシロカイン注ポリアンプとラボナール注を使用しています。
意識消失下に実施してれば静脈麻酔料が算定できます。
ラボナール注は薬効分類3桁が111なので全身麻酔剤に該当し、
意識消失させていれば静脈麻酔が算定できますよ。
実施記録に「意識消失下で実施」と書いてあります。
静脈麻酔の算定要件は次になります。
「静脈麻酔とは、静脈注射用麻酔剤を用いた全身麻酔であり、意識消失を伴うものをいう」
その場合も算定できますか?
意識消失したとしても静脈麻酔は算定できないですね。薬剤用のみの算定です。
何を見ればいいですか?
薬価点数早見表に記載されてますよ。
電カルや医事コンで効能を調べるので開く機会は少ないかもしれませんが、
薬効分類111は静脈麻酔、112は薬剤料のみ算定とおおきくことなりますので、
一度確認してください。
算定の前提が意識消失を伴う全身麻酔なので全身麻酔剤の使用が必要です。
前述の通り薬効分類111は全身麻酔剤なので意識消失下で処置、手術、検査などを
行えば静脈麻酔が算定できます。
実施時間で点数が分かれます。
医学通信社・保険診療2023年5月号に私の書いた関連記事が掲載されていますので、購読医療機関の方はぜひお読みください。
2.褥瘡壊死組織の切除は創傷処理!
皮膚切開術(褥瘡)とありますが単なる排膿だけですか?
看護記録に「壊死組織あり医師が切除」と書いてあります。
皮膚切開術は蜂巣炎など排膿が目的なので。
「創傷処理とは切・創・割創又は挫創に対して切除、結紮又は縫合を行う場合の第1回目の治療」
だから創傷処理で算定できるんですね。
院内でも算定が分かれていましたが納得しました。
さらに褥瘡に黒色痂皮に出来るとその下は浸出液や膿が貯留し、壊死組織を形成します。
そうなると外科的処置が必要となります。壊死組織の除去です。
生食などで洗浄するので汚染創に対するデブリードマン加算が算定できます。
それでも効果がなければデブリーマン手術や植皮術が必要になります。
排膿なのか壊死組織の除去なのか確認し算定します。
重度褥瘡処置の算定も忘れずにお願いします。
重度褥瘡処置
DESIGN-R2020分類D3~D5の褥瘡に対し初回処置から2か月算定できます。
この2か月とは歴月計算なので令和5年6月10日が初回なら8月9日まで、
令和5年7月10日からなら9月9日まで算定可能です。
歴月2月の求め方は月に2を足し日から1を引きます。
開始月により算定可能日数が変わります。30日×2月ではありません。
3. DPC 腰椎化膿性脊椎炎 バンコマイシン注あり
腰椎化膿性脊椎炎 070330にコーディングしています。
出来高対比がだいぶマイナスだと思いコーディングデータを確認したら、
バンコマイシン注が投与されていました。手術・処置2ありです。
この場合、感染症にコーディングできるのにしていない例が多くあります。
外来で肺癌の治療をしていた患者さんが、肺炎を発症し緊急入院し、抗生剤を投与してもコーディングを「肺癌」にする例は多いですね。
でもDPCは今回入院の治療が重要なんですよね。
以前教えてもらいました。
ほかに注意すべき薬剤はありますか。
いくつかありますが、ガンマグロブリン製剤、エダラボンなどの脳梗塞治療薬、
結腸癌術後のパントテン酸製剤注射薬は重要だと思っています。
いずれも手術・処置2に該当することがあるので。
今回は業務のやりくりと風邪の影響でブログの更新が大幅に遅れてしまいました。スケジュール管理と体調管理をしっかり行い定期的に更新していきますのでよろしくお願いします。ご心配をおかけしました。
8月に10回目の富士登山を計画しています。気力体力と心肺機能を高め安全に登山していきたいと思っています。