2022年11月のレセプト巡礼 【指摘3選】①脊髄小脳変性症は難病です ②エピドラ 精密持続注入加算は算定できません ③DPC 透析困難症と血液透析濾過の関係 その他透析なら手術・処置2あり 点数アップ  

レセプト巡礼

 
 

国民の休日 
 12月といえば年末です。年末といえば「国民の休日」です。これはここ15年以上毎年注意喚起しているものです。12月29日~31日、1月2日、3日(1日は祝日)は国民の休日なので初再診料、処置料(特に人工腎臓時間外・休日加算)、手術料等加算の算定もれに注意してください。12月30日まで診療している医療機関が多いと思います。29日と30日は出勤するので出勤前と退勤後は「時間外」と思いがちですが国民の休日の期間に時間外加算はなく、あるのは「休日加算、深夜加算」だけです。
 入院でこの期間に1,000点以上の緊急処置、緊急手術を実施したときは休日加算や深夜加算になりますので注意してください。

2022年11月実績報告  
 
レセプト点検件数   1,102件 
延点検時間       79時間 
移動距離合計      3,434㎞  
移動時間合計      33時間

レセプト点検に訪問した医療機関 
 1都4県 10病院 11日
 *東京都2病院、埼玉県4病院、神奈川県1病院、兵庫県2病院、茨城県1病院。

その他の業務
 *レセプト請求講習会講師 2回

乗車した路線
 *西武池袋線、西武新宿線、西武バス、西武有楽町線、地下鉄有楽町線、地下鉄副都心線、埼京線、
  武蔵野線、東武東上線、都営大江戸線、東横線、山手線、東海道新幹線、山陽新幹線、
  上野東京ライン、神戸市営地下鉄西神・山手線、神戸市営地下鉄海岸線、横浜線、
  東京モノレール、スカイマーク、ポートライナー。

乗降駅、乗換駅
 *練馬、所沢、池袋、戸田公園、小竹向原、志木、朝霞台、北朝霞、新秋津、秋津、菊名、鴨居、
  小平、田無、高田馬場、品川、新神戸、地下鉄三宮、新長田、長田、高速長田、西神中央、
  JR元町、阪神元町、三宮・花時計前、御崎公園、神戸新交通三宮、みなとじま、医療センター、
  神戸空港駅、神戸空港、羽田空港、羽田空港第1ターミナル、大門、浜松町、上野、石岡。

おすすめの食べ物(移動の楽しみは食事と甘いもの)
 神戸空港 神戸洋食キッチンのビーフカレー
 ロイヤルホストで有名なロイヤルグループの直営店です。カレーはもちろんおいしいですが、甘いみそ(だと思います)が添えてありそれがとてもインパクトがありました。辛めのカレーに混ぜたりそのまま食べたりすると、カレーの美味しさがさらに引き出されるようです。私の語彙力ではうまく表現できず「美味しい」としか言いようがありません。

指摘3選

1.脊髄小脳変性症 難病患者等入院診療加算が算定できます

佐藤
佐藤

脊髄小脳変性症の患者さんです。難病患者等入院診療加算が算定できますね。

医事課
 

大腿骨頚部骨折で入院し手術をしました。

主病は骨折になりますが算定できますか?

 

佐藤
佐藤

算定できます。主病は大腿骨頚部骨折になりますが、医科診療報酬点数表の

「診療報酬請求書・明細書の記載要領」「(15)「傷病名」欄について」の記載を

見てください。

医事課
医事課

確認します。

難しい表現ですね。どう理解すればいいんでしょうね。

佐藤
佐藤

レセプト傷病名欄に「大腿骨頚部骨折(主)」「脊髄小脳変性症(主)」と

記載すれば、2つとも主病になるので難病患者等入院診療加算が算定できるという意味です。

そもそも難病は常に主病になりえると思います。

医事課
医事課

確かに難病の治療をせずに骨折だけ治療することは困難ですね。

佐藤
佐藤

難病患者等入院診療加算の対象疾患は神経難病が多いので、

転倒による骨折や誤嚥による誤嚥性肺炎のリスクが高くなります。

医事課
医事課

1日250点算定できるので算定もれをしたら大変ですね。

佐藤
佐藤

そうですね。

この加算は療養病棟入院基本料と有床診療所療養病床入院基本料以外の

入院基本料算定病棟が対象です。

医事課
医事課
 

大きな点数ですね。

当院は障害者病棟があるのですが算定できますか。

 

佐藤
佐藤

障害者施設等入院基本料(障害者病棟)でも算定できますが、

障害者病棟はA211特殊疾患入院施設管理加算350点を算定していると思うので、

その場合は難病患者等入院診療加算は算定できなくなります。

医事課
医事課

350点の方が高いですからね。

佐藤
佐藤

レセプトにたびたび出てくる対象疾患は次の通りです。

・多発性硬化症

・重症筋無力症

・筋萎縮性側索硬化症

・脊髄小脳変性症

・進行性核上麻痺

・パーキンソン病(ヤール分類Ⅲ以上)

・多系統萎縮症

・脊髄性筋萎縮症

・球脊髄性筋萎縮症

・慢性炎症性脱髄性多発神経炎

などですね。DPCでも算定できるので注意しましょう。

医事課
医事課
わかりました。主病とは何か、理解する必要がありますね。

2.エピドラ 精密持続注入加算は算定できません

佐藤
佐藤
肝切除した患者さんです。
全麻と硬膜外麻酔を併施し「硬膜外麻酔後における局所麻酔剤の持続的注入80点」と
「精密持続注入加算80点」を3日間算定しています。
 
 
医事課
医事課
エピドラです。滴下速度を確認し算定しました。
佐藤
佐藤
手術材料で019(3)携帯型ディスポーザブル注入ポンプ・PCA型が
算定されていますので持続注入加算80点は算定できないんです。
 
 
 
 
医事課
医事課

えー!麻酔料通則を確認しL003も確認し算定できないと記載がないので
算定できると思っていました。

佐藤
佐藤

麻酔料の項目には算定の可否に関する記載はないです。

 
医事課
医事課
ではどこかに記載があるんですね。
佐藤
佐藤
材料価格基準別表Ⅱ 019(3)携帯型ディスポーザブル注入ポンプ欄外の
「ア」に記載があります。
PCA型を用いた場合は「硬膜外麻酔後における局所麻酔剤の持続的注入における
精密持続注入加算は算定できない」とあります。
 
 

 

医事課
医事課
ホントだ。なぜここに記載し麻酔料に記載しないんでしょうね。
佐藤
佐藤

確かにわかりづらいですよね。

医事課
医事課

精密持続注入加算が算定できるのはどのような時なんでしょうか。

佐藤
佐藤

019携帯型ディスポーザブル注入ポンプ(1)(2)(4)を使用したときは算定可能です。

(4)はPCA型と組み合わせたときは算定できません。

医事課
医事課

最近はⅳ-PCAを使用することもありますが、

静脈内投与なので硬膜外麻酔の持続注入ではないんですよね。

佐藤
佐藤

そうなります。ⅳ-PCAは手技料がありませんが、
目的は麻酔なので麻酔薬剤料として算定できます。

実際に算定していて査定されたという話は聞いていません。

DPCでも出来高算定できます。

 

医事課
医事課

PCAもⅳPCAも患者さん自身で調節できるとしても

医師や看護師が管理をするので診療報酬ができるといいですね。

佐藤
佐藤

新しい医療がたくさん誕生しているので症例数が多くなれば

診療報酬が新設される可能性がありますね。

 

3.DPC 透析困難症と血液透析濾過の関係 その他透析なら手術・処置2

佐藤
佐藤
うっ血性心不全にコーディングしています。
慢性維持透析の患者さんですね。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

 

 

医事課
医事課

はい、月水金の昼間透析です。

佐藤
佐藤

今回の入院契機病名は「うっ血性心不全急性増悪」ですね。
透析は慢性維持透析、注13慢性維持透析濾過加算を算定しています。
外来の算定はどうなっていますか。

医事課
医事課

慢性維持透析です。

佐藤
佐藤

入院時併存症に透析困難症があるので血液透析濾過を行ったのでしょうね。

ナウゼリン錠の処方がありますが嘔気などの記載はありますか。

 
はい、「透析中にnauseaあり」と記載があります。
 
 
 
佐藤
佐藤

だから慢性維持透析を行ったのですね。

医事課
医事課

算定が違うんですか。

佐藤
佐藤

慢性維持透析濾過加算を算定しなければ「その他透析」で算定でき、
「手術・処置2あり」になるんです。

医学通信社早見表690㌻左(8)エ、右(11)に記載があるので確認してください。

医事課
医事課

そうすると「うっ血性心不全050130xx9900x0」がその他透析ありなので

「050130xx9902xx」に変わるんですね。

6日間入院なのでレセプト点数が42,212点から44,749点に上がりました。

こんな算定方法があるんですね。

佐藤
佐藤

DPC算定では外来と異なり人工腎臓の算定を検討し工夫する必要がありますね。


最後までお読みいただきありがとうございます。今月は記事の投稿が遅くなってしましました。
次回は12月31日を目標に頑張ります。