2023年9月レセプト巡礼 【指摘3選】①コロナなど重症感染症は人工腎臓障害者等加算です  ②処置と前処置は密 ③DPC 癌患者の緊急入院、目的は癌治療ですか?

レセプト巡礼

  

今年の天気は「春・梅雨・猛暑・冬」
 長かった猛暑がやっと終わったと思ったら急に冷え込んできました。秋を通り越してしまったような感じがします。日本の四季はどこに行ってしまったのか?といささかオーバーな感想を抱いています。10月中旬になり秋めいた気候になってきたので、より一層レセプト点検にいそしみたいと思います。
       
10月以降のコロナ特例
 すでにご承知に事と思いますが、10月からコロナ特例の診療報酬に変化がありますので再確認の意味で参照ホームページを記載します。東京都医師会のものです。


2023年9月実績報告  
 
レセプト点検件数    901件 
延点検時間      44時間 
移動距離合計     2,603㎞  
移動時間合計     31時間

レセプト点検に訪問した医療機関 
 1都4県 9病院 7日 
 *東京都2病院、埼玉県4病院、兵庫県1病院、茨城県1病院、愛知県1病院。

その他の業務
 *算定講習会、DPCコーディング講習会 各1回

乗車した路線
 *西武池袋線、西武新宿線、西武バス、西武有楽町線、地下鉄副都心線、丸ノ内線、埼京線、
  東武東上線、東海道新幹線、山陽新幹線、東海道本線、常磐線、山手線、国際興業バス、
  JR神戸線、神戸市地下鉄・西神山手線、神戸市営地下鉄・海岸線。

乗降駅、乗換駅
 *練馬、所沢、小平、一橋病院前、池袋、戸田公園、小竹向原、志木、宿、朝霞台、田無、刈谷、
  名古屋、戸塚、上野、石岡、新神戸、神戸、ハーバーランド、御崎公園。

おすすめの食べ物(移動の楽しみは食事と甘いもの) 
【ひつまぶし】
 毎月名古屋の病院を訪問していますが初めて名物「ひつまぶし」をいただきました。鰻のかば焼きをお茶漬けにするのがイメージできませんでしたが、カリっと焼く名古屋式だからこそと納得しました。とてもおいしかったのは言うまでもありません。
 
 
   

指摘3選

1.人工腎臓障害者等加算 重症感染症

 
佐藤
佐藤
慢性維持透析患者さんが入院中にCOVID-19を発症した事例ですね。
 
 
医事課
医事課
はい、発熱がありPCRを実施したところ陽性でした。
感染経路は不明ですが、ラゲブリオカプセルが処方され公費を申請しまた。
佐藤
佐藤
重症感染症ということですね。
他にどんな症状だったのでしょうか。
 
 
医事課
医事課
カルテをみるとSPO2が93%、呼吸不全があり酸素5ℓの酸素吸入をしました。
佐藤
佐藤
それだと「COVID-19診断の手引き10版」の重症度分類「中等症Ⅱ
呼吸不全あり」に該当しているでしょうね。
医事課
医事課
はい、医師も手引きを参考に治療を開始し、公費申請になりました。
 
 
 
佐藤
佐藤
では、早見表の人工腎臓の項目を見てください。
「(サ)重症感染症に合併しているために入院中の患者」
に該当しますね。障害者等加算が算定できます。
 
医事課
医事課
確かに重症感染症です。
 
 
 
 
佐藤
佐藤
重症感染症に合併している‥とあるので入院契機病名でなくても該当します。
医事課
医事課
わかりました。透析患者さんの入院が多いので今度から併存症を確認します。

2.処置料と前処置の関係

佐藤
佐藤
J034-2経鼻栄養・薬剤投与用チューブ挿入術の算定があります。
目的は何でしょうか?
 
 
 
 
医事課
医事課
経口摂取ができないので栄養補給です。
佐藤
佐藤
それは鼻腔栄養になりませんか。
 
 
医事課
医事課
そうでした。鼻腔栄養が目的でした!
佐藤
佐藤
食事せんに記載があったでしょうね。
 
医事課
医事課
特別食の有無は確認しますがうっかりしていました。
佐藤
佐藤
 
鼻腔栄養のオーダーの有無にかかわらず、処置の目的を理解することで算定もれを
防ぐことができましたね。
 
 
医事課
医事課

他にもいろいろありますよね。

佐藤
佐藤
 

ありますね。処置料の算定は蜜なのでセットで覚えるといいですね。

ワンポイント
ワンポイント

関連する前処置と本処置 主なもの
・J034-2経鼻栄養・薬剤投与用チューブ挿入術 — J120鼻腔栄養 

・j044救命のための気管内挿管 — J045人工呼吸
・J019持続的胸腔ドレナージ  — J002ドレーン法 
・J020胃持続ドレナージ    — J002ドレーン法
・J021持続的腹腔ドレナージ  — J002ドレーン法

 

3. DPC 膀胱癌・緊急入院 → 尿路感染症   

佐藤
佐藤

膀胱後壁部膀胱癌で緊急入院した患者さんです。
コーディングデータを見ると入院初日から抗生剤の投与があります。
尿培養が陽性から尿路の感染症にコーディングできないでしょうか。

医事課
医事課
外来で膀胱癌を治療しているので入院契機とDPCを膀胱後壁部膀胱癌にしました。
 
 
佐藤
佐藤
癌の治療は何でしょうか。
化学療法もなく癌性疼痛緩和指導管理料の算定があるので鎮痛だけですね。
 
 
医事課
医事課
 
そうですね。癌の治療は疼痛緩和とがんリハです。
佐藤
佐藤
がんリハは1日1単位、抗生剤投与は12日間継続。
尿沈渣と尿培養を複数回実施。最多病名は感染症ではないでしょうか。
 
医事課
医事課
カルテ確認します。
医師の問題リスト#1に尿路感染症となっています。
佐藤
佐藤
それならコーディングは尿路感染症がいいのではないでしょうか。
点数の比較をしてみましょう。
 
医事課
医事課
入院期間が15日で膀胱癌は110070①なので30,800点。
尿路感染症は110310①なので35,088点。尿路感染症が点数が高くなりました。
佐藤
佐藤

治療内容からも点数的にも尿路感染症がいいですね。
外来で癌治療を受けている患者さんが入院するとコーディングを癌にすることが多くあります。
予定入院なら癌治療かもしれませんが、緊急入院の時は初日の治療がポイントです。

肺癌の患者さんが緊急入院し、肺炎の治療をしていても肺癌にコーディングしがちです。
癌は重症という先入観があるからだと思います。
治療内容からコーディングにたどりつくことができるといいですね。


次回は11月上旬を予定しています。