2026年5月レセプト巡礼 №59【指摘3選】①他院で透析導入し転入したときの導入期加算は? ②バンコマイシンTDM 複数回実施時の算定 ③DPC 出血性貧血 → 持続性血尿  

レセプト巡礼

 

 

  新点数算定始まる
   6月1日から新点数による算定が始まりました。新旧点数の切り替えはもちろん済んでいると
  思いますが、医療側も審査側も新点数に慣れていないことから、3か月間くらい新点数に関わ
  る算定誤りや査定状況が定まらないことがあります。また疑義解釈が5月29日まで(その1)
  から(その7)まで通知されています。今後も増えていくと思います。都道府県医師会や関係
  協会からの通知と合わせ多くの情報発信が続くので、取りまとめと管理が必要となります。
  私の頭と体に浸み込んでいる算定の基本的な考え方は「算定できないと明記されていない
  ものは算定」です。その結果査定等を考慮して修正することが積極算定になるのではないで
  しょうか。算定控えに慣れてしまうと査定もなくこれでよいとなり、損失に気が付かないこと
  があります。やみくもに算定することを控えるのはもちろんですが、担当者が早見表や
  通知を読み、算定できると判断したものは算定ありきだと思います。

   DPCレセプトに入退院情報(予定・緊急入院区分:1,2,3)の記載が省略されました。これ
  には大きな影響があるのではないかと危惧しています。
   1.救急医療管理加算の算定もれにつながる
   2.救急医療管理加算の査定が増える可能性
  救急医療管理加算の算定は入退院情報に「緊急」とあることが根拠の一つになっています。
  これがなくなるとレセプト点検時に加算の対象かどうかわからなくなる可能性があります。
  審査の視点はわかりませんが、ある程度同じように判断しているのではないでしょうか。
  救急医療管理加算1が2に減額、救急医療管理加算2が0査定になっている状況を考えると、
  加算の算定を妥当と審査側が判断する工程に「緊急」というワードと傷病名があるでしょう。
  
 【対策】
   レセプト摘要欄の先頭や入院料に「緊急入院」と記載することが重要です。視覚で確認する
  ことにより算定に対する意識が向かいます。各医療機関で工夫してください。また傷病名に
  急性などの接頭辞や、発作や増悪など接尾辞をつけて重症度がわかるようにしましょう。

 *DPCコーディングの変更点
  ①透析シャント閉塞(T82.8)のコーディング
  内シャント造設術など手術を実施すると180040xx97x0xxとなり出来高算定になっていまし
  た。これを嫌い閉塞をシャントの永年劣化ととらえ、慢性腎不全110280xx02x00xで算定する
  病院があったと思います。
  改定後の比較 「180040手術あり」が出来高算定でなく樹形図番号が付きました。(朗報)
   入院10日
   180040xx97x0xx 25,498点
   110280xx02x00x 21,205点

  ②熱中症(T67.8)161020から「定義副傷病:肺炎等、腎臓又は尿路の感染症」削除
  ③腰椎圧迫骨折、骨粗鬆症患者 K142$脊椎固定術実施 入院期間20日
   旧点数 160690⑤ 48,992点  070370③ 48,586点
   新点数 160690⑤ 50,660点  070370③ 51,504点
   *腰椎圧迫骨折(脊椎圧迫骨折)は骨粗鬆症4大骨折の一つです。K142$脊椎固定術を
    実施したときの点数が逆転しました。これは人生100年時代に突入した現在を反映した
    ものと考えます。脊椎圧迫骨折は骨密度の低下が主な原因で、多くは骨粗鬆症によるもの
    です。入院日数を勘案しコーディングを決定しましょう。
   【参考】K142-4経皮的椎体形成術を実施 入院期間20日
    旧点数 160690④ 44,461点  070370④ 45,033点
    新点数 160690④ 47,213点  070370④ 48,148点
    この事例は新旧共に骨粗鬆症病的骨折にコーディングするのが優位です。
    *K142$脊椎固定術、K142-4経皮的椎体形成術共に骨粗鬆症の定型手術です。定型手術
     は疾患に対し手術実施が多いということです。


   
   
 

  
     

  ご報告
   昨年より「医事課ネットワーク 拠点リーダー募集」の呼びかけを始め、不発が続いていま
  したが、この度東京都多摩地区の医療機関の職員の方からファーストコンタクトがありまし
  た。さらに城南地区の医療機関からも連絡がありました。城南地区は5月13日に実施します
  た。これを機にネットワークが広がりネットワーク同士の連携ができることを夢見ています。

  改めて内容を記載します。
   医事課ネットワーク 拠点リーダー募集   
  拠点リーダーとはレセプト算定が好きで、算定スキルを上げたいと考えている方なら、
  特別な要件はなく誰でも立候補できます。

  *リーダーにお願いすることは次の3点です。
  ・弊社との連絡 
  ・勉強会の日程を決めて参加希望者の募集(日程が決まれば弊社も募集します)
  ・勉強会当日の簡単な進行

  勉強会開催方法
  ・名  称 ○○地区医事課ネットワーク
  ・会場確保 実施を希望する医療機関内または近くの会場を弊社が予約
  ・開催時間 就業時間以降17時30分頃から1時間程度(相談の上)
  ・内  容 リーダーや参加者のリクエストで弊社が作成する算定資料の解説や演習
  ・開催頻度 3、4か月に1回程度
  ・参加者  拠点リーダーのネットワークを活用し参加を希望する方
  ・参加費用 無料 
  ・開催場所 JR山手線から電車利用で片道1~1.5時間程度で移動できる地域
  ・開催最低人数 3人
 
   うまく運営できるか、参加者が集まるか全く未知数ですが、ご興味のある方は「お問合せ」
  からご連絡ください。件名は「医事課ネットワーク リーダー希望」とお願いします。
   弊社は事業として有料の勉強会の実施がありますが、それと別の私的な勉強会です。
  ネットワーク構築によろしくお願いします。  

 
  

 

2026年5月実績報告  
 
レセプト点検件数    723件 
延点検時間        49時間 
移動距離合計       2,222㎞  
移動時間合計       29時間

レセプト点検で訪問した医療機関 
 1都4県 7病院 7日間  
 *東京都1病院、埼玉県3病院、神奈川県1病院、愛知県1病院、兵庫県1病院。  

講習会
 *TMG レセプト請求リーダー養成講座
 *TMG DPCコーディング切るアップ講座
 *佐藤塾 恵比寿地区医療機関  

その他の業務
 *株式会社FBS・WEB会議 
 
乗車した路線
*西武池袋線、西武有楽町線、西武新宿線、西武拝島線、西武多摩湖線、JR埼京線、
 JR山手線、JR湘南新宿ライン、JR京浜東北線、JR根岸線、東武東上線、JR東海道新幹線、
 JR東海道本線、JR神戸線。 

乗降駅、乗換駅
*練馬、小竹向原、志木、朝霞台、池袋、田無、一橋学園、戸田公園、恵比寿、戸塚、品川、
 豊橋、刈谷、横浜、大船、港南台、新大阪、神戸、兵庫。 

移動の楽しみは食事と甘いもの、たまに観光 
【大阪紅ショウガ天】
 新大阪の構内で見つけました。毒々しい色合いですがおいしくて食べると癖になります。
お酒をたしなむ方もそうでない方も、一度お試しを。
                       




 指摘3選

1.他院で透析を導入し転入したときは当院で導入期加算は算定できる?

佐藤
佐藤

4月25日に末期腎不全で緊急入院し、26日にシャント造設のため転院し透析を導入してから戻ってきた患者さんですね。適応欄に「他院で透析導入」とありますが導入日はいつですか。

医事課
医事課

確認します。
4月27日です。

佐藤
佐藤

4月30日に転入し慢性維持透析を5月1日、4日、6日、8日、11日、13日、15日、18日、20日、22日、25日、27日、29日の月水金に実施し5月30日退院ですね。この場合1日から25日までは導入から1か月なのでその透析、導入期加算の算定になります。

医事課
医事課
 

他院で導入したときも導入期加算が算定できるんですか。

 
佐藤
佐藤

できますよ。

医事課
医事課

 そうなんですね。27日は導入1か月後ですが算定できないんですか。

佐藤
佐藤

1か月というのは歴月で考えるので30日後や31日後ではないんです。
歴月1か月は月に1を足し、日から1を引いた日にちになります。

医事課
医事課

そうすると4月27日導入なので4月+1で5月、27日-1で26日になりますか。

佐藤
佐藤

そうです。ですから5月27日以降は慢性維持透析ですが、26日以前はその他透析になります。コーディングは手術・処置2ありになります。

医事課
医事課

貧血のためMAP輸血を実施したので110280⑥に算定しましたが、

その他透析なので110280⑧になりました。

佐藤
佐藤

コーディングは110280末期腎不全の一連で実日数は4月25,26日と

4月30日から5月30日なので33日です。点数を比較してみましょう。

医事課
医事課

指摘前は110280⑥で66,510点、訂正後110280⑧は79,472点なので

12,962点の増点です。かなり上がりました。

佐藤
佐藤

DPCの部分はそうですが、出来高部分は下表のようになります。

-2,090点ですがDPC分と合わせると10,872点の増点です。

これにDPC係数があるので16万円以上の増額ですね。

指摘前 慢性維持透析1 4時間2,036点×13回+ダイアライザー144点×13回 28,340点
指摘後 その他透析 1,580点×11回+導入期加算410点×11回
慢性維持透析1 4時間2,036点×2回+ダイアライザー144点×2回
26,250点

2.特定薬剤治療管理料・バンコマイシン 複数回実施したときは? 

佐藤

佐藤

敗血症性ショックの患者さんにバンコマイシンの特定薬剤治療管理料・初回の750点を算定しています。コーディングデータを見ると10日間バンコマイシンを点滴していますが血中濃度測定は何回実施していますか。

医事課
医事課

カルテ確認します。3回実施しています。

佐藤
佐藤

それではバンコマイシンの複数回測定・精度管理に該当するので、

所定点数470点に530点が算定できます。

医事課
医事課

そうでした、1,000点です。

佐藤
佐藤

バンコマイシンは有効な血中濃度の範囲が狭く、濃度が低いと効果がなく、高すぎると副作用が出現するので長期投与では複数回実施することがあります。

医事課
医事課
 
 

採血のオーダーに気をつけないといけませんね。



3. DPC 出血性貧血 → 持続的血尿

佐藤
佐藤
出血性貧血130090のコーディングです。救急医療管理加算コメントに4月21日から血尿と記載があるので貧血の原因は血尿だと思います。4月24日の入院なので3日以上血尿が続いたのでしょう。持続性血尿、反復性血尿という傷病名がありともにN02.9で110280に該当します。MAP輸血を2単位、止血剤点滴を5日間、医療資源は血尿に対するものではないでしょうか。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
医事課
医事課
MAP輸血があったので医師に確認したら出血性貧血ということでした。
 
 
 
 
 
 
佐藤
佐藤
原因疾患にコーディングするか、発現症状にコーディングするかというところですね。  
 
 
医事課
医事課
そうですね。主治医が泌尿器科なので血尿の治療が主となっている気がします。カルテを見ると貧血は輸血後に改善しているようです。
佐藤
佐藤
両側胸水があるので110280にコーディングすると定義副傷病該に該当します。
主治医に確認してください。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
医事課
医事課

わかりました。

  今日は6月10日、関東以西は梅雨入りしました。これから約1か月以上ジメジメになやまされ
 ますね。現在医学通信社の依頼で改定に関する記事を書いています。『月刊/保険診療』
 7月号掲載予定の『新点数による算定・請求実例集』というテーマです。お楽しみに。
 

     
 次回は7月上旬に配信の予定です。

 
 
                                      #59